2017年04月13日

『おとぎの森の幼女姫』――キャラメる語り 第二回 スパイク・スケイル――

『キャラメる語り 第二回 スパイク・スケイル』


 
 キャラメる語り、第二回は知性派ドラゴン、スパイク・スケイルです。

スパイク1.jpg


 名前の由来は「とがった鱗」から。体の中に原初の火が燃える、炎の息を吐くドラゴン。しかし容姿や能力とは裏腹に、その内面は知的な紳士。
 鱗の色はルビーのような赤。何故赤いのか?
 冷静な知性派なんだから、青でもいいじゃないか?


 はい、ここにも理由とこだわりがあります。ダンジョンズ&ドラゴンズというTRPGをご存知でしょうか?
 あのゲームの箱絵があまりに強烈だったのです。丸い盾と剣をかまえた戦士に向かって、がーっと口を開けて吼える赤いドラゴンの姿が、竜の原型として記憶に焼きついていたのです。



 スパイク・スケイルのキャラクターを造形してゆくのは、そのままこの本の世界での『ドラゴン』という種族の設定を決めることでもありました。ファンタジーの中で最も有名な生き物だから、既存の情報の中に使える要素はいくらでもあります。その中で何を選んで、何を使うか、範囲を絞る……若干ふわん、とした部分を残しつつ。


 まず、種族としての立ち位置。善か悪か二つにさっくり割り切るのは避ける。

 全てのドラゴンが敵対的とは限らない。好意的とも限らない。いい人間と悪い人間がいるように、いいドラゴンもいれば悪いドラゴンもいる。けんかっ早いのもいれば、頭がいい個体もいる。ただし、どんなドラゴンでも、騎士とは天敵同士。出会ったら戦わずにはいられない。それがおとぎ話の掟だから。


 体内に炎を宿し、体温が高い。警戒すると体を赤い光が走り、鱗が尖る。動物の毛が逆立つのと同じように。これは当初は無かった設定でした。尖ったまんまだったのです。でも鱗が尖っていたら姫のやわらかなお肌に傷がついてしまう。だきついたり、すりよったりできない。そこで「攻撃態勢になった時に鱗が尖る。普段は丸くてすべすべ」という設定ができました。


 人間と共同生活を送るのが前提だから、あまりサイズは大きくしない。

 片目をすがめて鼻からふーっとため息。瞳孔が縦に狭くなる。逆に広がる。顔をそらせて見おろす。表情は、飼っている猫をモデルにしています。



 ここまで固まってくると、自然と雨の森の出会いが浮かんできました。暗い森の中、降り注ぐ冷たい雨がドラゴンの体に触れて白い蒸気に変わる。剣に手をかける騎士。けれど姫が最初に感じるのは、きっとあたたかさ。


 何故、彼が姫に優しいのかはちゃんと理由があります。ドラゴンにも経験と、流儀と信念があり、それに基づいて動くのです。本来は敵対している騎士とも、必要とあれば手を組める冷静さがある。故に血気盛んな若い時代は過ぎた、中年にさしかかった年齢として設定しました。そう、ドラゴンもまた『おじさん』なのです。


 口調はあくまで礼儀正しく、丁寧に。姫に対しては優しく、騎士に対しては若干辛辣。対等の立場でケンカしながら、共通の目的のために協力するバディ。ドラゴンと人間の関係で、やってみたかった間柄でした。



 知性派ドラゴンの発想源を探ってゆくと、まず浮かぶのが映画「ドラゴン・ハート」のショーン・コネリーが声を演じた老ドラゴン。さらにもう一歩奥に進むと、ディーン・R・クーンツのSF小説「ビーストチャイルド」に行き着きます。(現在は残念なことに絶版)

 表紙が印象的だったのです。爬虫類型エイリアンと少年が寄り添って二人で雪山を歩いている。実際の小説の中ではもっといろいろ込み入った事情があるのですが、ドラゴン(っぽい生き物)が幼い子供を守るイメージはここから湧きました。



 余談。

 先日、20年使い続けたアイロンが壊れて電源が入らなくなりまして、新しいのを購入しました。スチーム噴射機能もついた、赤いアイロンです。



(第二回/了)


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posted by 白好出版 at 18:00| おとぎの森の幼女姫